Wind Band Pressではこれまで多くの海外の情報を記事にしてきましたが、実際のところ、海外各国の吹奏楽事情についてはあまりよく知られていないのが現状です。
そこで世界各国で現地に在住し吹奏楽を楽しんでいる方、また指導などで関わっている方などから各国の吹奏楽事情について伺ってみようというシリーズ、それが「気になる!世界の吹奏楽事情」です。
今回は、ジャカルタ・ジャパン吹奏楽団の水木太喜様にご寄稿いただきました。
ジャカルタ吹奏楽について
皆さまこんにちは。ジャカルタ・ジャパン吹奏楽団の水木(EuときどきTu)と申します。
この度は縁あって機会を頂きましたので、ジャカルタでの吹奏楽と私たちの楽団についてご紹介をさせて頂きたいと思います。
そもそも、ジャカルタってどこ?という方もいらっしゃると思いますので、簡単にジャカルタの紹介を。ジャカルタは、インドネシア共和国の首都で、1000万人を優に超えるアジアきっての大都市です。経済・文化ともに非常に活気のある街で、日本企業や日本のお店の進出も非常に進んでいます。最近ではジャカルタでも日本の牛丼屋さんやうどん屋さんを至る所で目にすることが出来ます。一方で、この密集度もあって、車の渋滞が世界一酷いと言われていますが、現在地下鉄や高速鉄道の建設真っ最中で、交通事情が改善されれば更に住みよい街になること間違いなし!と期待しています。
さて、本題の音楽についてですが、そもそもインドネシアでは様々な音楽が街中に溢れており、いろいろな場面で生の演奏や音楽に触れあう人たちを見ることが出来ます。
特に、ロックバンドやジャズなどの音楽は、聴く人も奏でる人も沢山いて、JAVA JAZZに代表されるような世界的音楽祭も開催されているほどです。個人的な感触としては、触れ合う人たちの根本にあるリズムや音楽は、とても南国的な印象を受け、いわゆる「ノリ」の良さはDNAに組み込まれているように感じます。
で、肝心の吹奏楽ですが、実は吹奏楽という体系の音楽は、ほとんど(というか全く!?)ジャカルタでは見かけません。どちらかというと、オーケストラや管弦楽団によるクラシック音楽の方は、頻繁に演奏会が開催されており、ジャカルタにもプロのオーケストラはありますが、吹奏楽の演奏会というものは聞いたことがありません。
しかし、まったく吹奏楽が無いか?というとそうでも無いようで、街中の楽器屋さんに行くと、なんとマーチング用の管楽器や打楽器は、一通りの物がすべて揃っています。高校や大学といった学校教育の一環で、マーチングは広く取り入れられているようで、インドネシア内での大会も行われています。
そんなジャカルタで私たちジャカルタジャパン吹奏楽団(インドネシア名 Orkes Tiup Jepang Jakarta = OTJJ )は、2015年の6月に発足し、8月に正式に活動を開始しました。ここからは、今年で2周年を迎えたOTJJの紹介をさせて頂きたいと思います。
私たちのバンドは、現在メンバー約30名が在籍しており、日本からの駐在員やその家族、また現地で仕事をしている日本人から構成されています。週に一度、ジャカルタにあるスタジオやメンバーの住むアパートの多目的室などを借りて練習を行っています。音を楽しむことをモットーに、地元ジャカルタで開催されるお祭り・イベントへの参加や、カフェとのコラボによる自主企画ランチコンサートなど年に4.5回の本番のペースで活動をしています。演奏する曲目は、イベントごとに選曲しますが、やはりジャカルタのイベントでも、アニメソングの人気が高いのは日本と同じでしょうか。その他、最近はメンバーが増えてきて音が充実してきたこともあり、所謂、吹奏楽の定番名曲なども取り入れています。また、インドネシアの伝統音楽も吹奏楽用にアレンジしてプログラムの構成に取り入れています。
ジャカルタで吹奏楽をするにあたって難しい点が2つあります。1つは、楽器の確保です。現在は各自、日本から何とか持参した楽器を使って練習していますが、リードなどの消耗品購入や、ピストン調整といった楽器の調整などを安心して任せられるお店がとても少なく、ほとんどの皆さんが、日本に一時帰国するタイミングをなんとか使って、楽器のコンディションを繋いでいるという状況です。2つ目はメンバーの入れ替わりの激しさです。特に日本から駐在で赴任しているメンバーは、だいたい3年~5年単位で帰国することが一般的で、現在は30名近くいるメンバーも2年前の創立当初からいるメンバーはすでに数名しか残っていません。逆に言うと、新しいメンバーがどんどん入ってきてくれるので、常にフレッシュな音が響くのもOTJJの特徴です。
こんなOTJJですが、目下の目標は単独定期演奏会の開催です。これまでも、自主企画として多目的室でのファミリーコンサートやカフェランチコンサートは開催してきましたが、きちんとした大きなホールでの定期演奏会を実施することを目標に練習に励んでいます。
実は東南アジア各国にも日本人吹奏楽団があって、合同演奏会の企画など連携を取って活動しています。こうやって考えると日本の吹奏楽文化がどんどんアジア圏にも広がっていると思うととてもうれしい限りです。
最後になりますが、皆さまもアジアの国々を訪れす際には、ぜひそれぞれの吹奏楽団を訪ねて見て下さい。お待ちしております!
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